【あとがき解説】ソロモンMAD振り返り

前略、今年もAnipafeというイベントに参加をさせて頂きました。

今回は特に書くつもりも無かったのですがなんか書いてます。という訳でサクサクと。

 

■前提のお話

今作はゲームの主人公である藤丸ではなく、FGO第一部のレギュラーキャラクターであるロマニ・アーキマンとロマニを説明する一要素としてマシュの二人をメインにしたMADになります。

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ロマニを主役に立てた理由については、元々好きなキャラクターであることは勿論ですが、個人的な解釈として「バビロニア」「ソロモン」のアニメ作品2本を通した時の主役が作品の構成上ロマニであったと考えた為です。

 

バビロニア単体で観た時の主役は当然藤丸とマシュの2人になっていたと思いますが、バビロニアの0話が前日譚としてロマニメインのシナリオとなっていたり、バビロニア本編においても合間合間に藤丸やマシュの成長を見守るようなロマニのカットが細かく挟まっていたりと、なんとなくアニメスタッフの意図がそういうことなのではないかと感じた次第。

 

ついでにここでロマニというキャラクターのバックボーンを簡単に説明します(※ネタバレ有)。

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物凄く端的に言うと、サーヴァントであるキャスター・ソロモン王が聖杯戦争に勝利し、「人間になること」を聖杯に願ったことで人間になった姿がロマニとなります。

人間になったは良いものの直後に「世界が滅ぶ」未来を予知してしまい(これはソロモン王の力の名残)、なぜ滅ぶのかも分からないままそれを回避する為に奔走し続けカルデアに辿り着きマシュの主治医となる、というのが本編前のお話。

 

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物語上の立ち位置としては主人公である藤丸とマシュの所属する組織の臨時トップ/上司であり、かつ気の置ける保護者に近い存在だったような気がします。(エヴァ初期のミサトさんとかが近いかも?ぼかしてはいますがその最期に関しても。)

 

■選曲

使用した曲はvivid undressの「yours」という曲になります。

同じ界隈で活動されている方は色々と察する人も多いかもしれませんが、

↑こちらの好きMADから知った曲になります(suki)。

 

とは言え、他の方から影響を受けての選曲には常日頃から若干思うところもあり、曲への解釈含め自分なりに色々と考えてはみたつもりです。

後述。

 

 

特定のキャラクターやテーマに充てて歌詞合わせをする際は「歌詞の中の登場人物」を把握してイメージすることから始めることがしばしばあります。

 

今回yoursの中に登場すると考えた登場人物は大きく分けて「僕」と「君」の2人。

歌詞の中の一人称は一貫しているので、構成上の目線も僕(ロマニ)に絞っています。

 

ちなみに一人称「僕」/二人称「君」は作中のロマニとも同一なので、作品を履修していない人にもふんわり歌詞合わせの意図が伝わりやすく、履修している人には没入感が増す要素にもなるんじゃないかという打算もありました。

 

ここでの「人称」と「目線」の意識を元に、後述のテーマも設定しています。

 

■テーマ

Anipafe参加作ということで今回も「テーマ」を設定しました。

今回に関してはテーマに関して思うところもあり、去年までと比べると(比較的)真面目にテーマについて考えています。

 

具体的に言うと、昨年のテーマ設定は

選曲 ⇒ 構成 ⇒ 編集 ⇒ 完成 ⇒ 完成品を見てそれっぽいテーマを設定

 

でしたが、今年は

選曲 ⇒ テーマ設定 ⇒ 構成 ⇒ 編集

のフローで考えています。

「当たり前では?」と思う方もいるかもしれませんが私は去年上の感じでした(恥)

 

 

今回MADのテーマとして設定したのは「独白」(同時期上映されていたキャメロットの主題歌名を持ってきています)。

「独白」とはつまり「独り言」のこと。

 

「yours」という曲の歌詞を使った「ロマニ・アーキマンの独り言の妄想」こそが今回のテーマの本質であり軸となります。

 

全体の構成としてロマニとマシュの2人がメインのMADとなりますが、マシュがメインで映るシーンであってもMAD内での歌詞はどこのシーンで切り取ってもロマニの一人称がなんとなく崩れないよう配慮。

 

テキストに関しても、冒頭のソロモン王のマスター(マリスビリー)からの問い掛けを除き、「」はロマニ、#~はロマニ(ソロモン王)自身の自問自答をイメージしています。

 

原作では一切言ってないけど歌詞は全てロマニが独白として残していたものという解釈(だからユーザー目線では知らなくても別に矛盾はない、真理の脳内にはある)。

今回の存在しない記憶はある意味選曲とコンセプトそのものという訳です。

 

 

■サブテーマと構成について

上述のテーマとコンセプトに沿って作ってはみたものの、作っていくと当然ながら構成中の意図や、テーマ以上に「それっぽい」テーマが出てきてしまいました。

 

テーマエントリーは上述の独白でいくと予め決めていたので、以下については便宜上「サブテーマ」とします。

 

サブテーマ①:願い

本MADでは若干くどいくらい「願い」「wish」というワードを強調しています。

 

ソロモン王の願いは「人間になること」

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マシュの願いは「本物の空を見ること」

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ここまでは原作シナリオ上で言及されています。

では、ロマニ・アーキマンの願いは何であったか。

 

藤丸とマシュの未来を守ること」「マシュに本物の空を見せること

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が最終的なロマニ自身の願いであったというのが私の解釈となります。

(ロマニの「願い」は本編中で具体的に語られたものではなく、「叶った」という結果だけがダヴィンチから語られている為、上記は諸々の要素からの考察です)

 

FGO第一部には上記「3人の願い」があったという解釈の元、所々のテキストや演出はその解釈をベースに構成しています。

 

サブテーマ②:人成

前提のお話で少し言及しましたが、ロマニは実際のところ人の心がよく分からない王様がそのまま人間になった人でなしだったと思っています。

またそれ故に、マシュとの関係性は保護者であると同時に成長していく鏡の様なものでもあったと思っています。

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途中マシュが駆けている謎空間は「マシュが人に成っていく過程」を表していると解釈(MAD内で意図的に差し込んでいますが、主人公である藤丸と出会う直前にもほぼ同じ構図のシーンもあり、それを踏まえた構成です)。

 

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2:31のシーン、マシュの手前は無人なのに波紋が出来ています。

これはアニメオリジナルの描写の為想像の域を出ないのですが、個人的にロマニの足跡を表しているんじゃないかな、という解釈をしました。

 

「マシュが人に成っていく」のを見ながら、「それを見るロマニ自身も人に成っていく」というのがアニメで強調されていたFGO1部の1つのテーマだったのでは、という解釈です。

 

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マシュが謎空間を駆けていくシーンは繰り返すことで強調しつつ、序盤のシーンでロマニの類似の謎空間シーンも入れることで対比も意識、といった感じ。

 

自分で見て触って確かめて心感じるままに君が選んでいくんだ」等途中途中の歌詞はマシュとロマニ双方に掛るよう意識して構成しています。

 

長々と書きましたが、今回突発的にこの題材でMADで作ったのはタイミングよくソロモンの映画を観たというのに加え、「ユーザー以外でも大筋を解釈できるFGOMAD」というのを作ってみたかったのがあったりします。

 

実際のところ大半の方はFGOをよく知らないながら色々な解釈のもと動画を考えて視聴頂けており、感謝の至り。この場を借りて御礼申し上げます。

 

とはいえ部分部分スピンオフ漫画の静止画で凌いだりしましたが、円盤を待ってからの方がより分かりやすいMADを作れた可能性も。。。?

考えなしも良くはないですが考えすぎというのも考えものですね。。。

 

2部6章に関しては選曲自体のアイディアはあるのでそのうちに。

スィーユーアゲイン。